ヒト骨芽細胞様骨肉腫細胞(SaOS2)を用い、ストレス要因である培養環境pHの影響について検討した。pHの上昇に伴ってSaOS2のアルカリフォスファターゼ活性は上昇し、DNA合成能は低下した。real time PCRとELISAで検討したTGF-β1産生は、コントロールを1とした時のmRNA発現が培養3時間ではpH7.8で3.0倍、6時間ではpH7.6で3.6倍と促進され、培養上清中の産生も有意に増加した。IL-11mRNAの発現も培養3時間ではpH7.8で3.8倍、6時間ではpH7.6で5.9倍と促進された。産生されたIL-11mRNAは抗TGF-β1抗体の添加により有意に発現が抑制され、NFκB阻害剤であるPDTCはpH7.6において濃度依存的にTGF-β1mRNAの発現を有意に抑制した。pHの変化により活性化されたNF-κBのシグナルはTGF-β産生促進に働くが、そのオートクリンの結果産生されたIL-11がNF-κBの活性を抑制するというネガティブフィードバックの存在が示唆された。